□概要
建築主:旧黒木町
所在地:福岡県八女市黒木町
建物用途:公営住宅
敷地面積:7.334.45u
建築面積:1,872.66u
延床面積:3,465.91u
構造・規模:RC造2階
住戸数:40戸
竣工:2002.05 |
□CONCEPT
かつて城下町・商業の中心地(旧久留米藩時代)として栄えた黒木町には、緑豊かな自然をはじめ数多くの由緒ある歴史・文化資源が残されている。一方、山間地域にあって少子高齢化に伴い人口は減少の一途を辿っており、このような背景のもとに老朽化した町営住宅建替整備計画の一環として谷団地を再生している。
谷団地を中心に成熟した近隣コミュニティ(後述:タカラモノ)の存続・活性化を図るため、団地中央部にコモンアクセスゾーン「緑のプロムナード」を主軸にした配置計画としている。併せて団地アプローチ部にふれあい広場・いこいの広場等を周辺地域に開放させ、団地内外の住民の意識が相互に乗り入れする開かれた地域住宅の創造を目指している。
本町のような過疎化が進展する地域における公営住宅を再生する上での課題の一つに、公営住宅に住むことの誇りと愛着を住み手に与え、地域の中で定住していくという帰属意識を芽生えさせることが大切である。そのためには、住み手は地域固有の魅力を享受し、地域に住むことの豊かさ・楽しさを実感できること。加えて地域の魅力の中から地域生活の場としての豊かさを失いつつある現代社会を背景に、集合住宅の抱える課題を解決する手掛かりを発見することが必要であり、これは地域性を活かす本質でもあると考えられる。
人が共に住み合うという永遠のテーマと地域の住文化に鑑み、本町に残る「蔵造り」のイメージを本設計の基調様式として、他の地域にない特有のいとなみ・慣習・生活作法・知恵・空間形態など地域固有の「タカラモノ」を発見し、継承(反映)していくことによって地域の活性化と定住環境づくりに資すものと考える。
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